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短編『君の泣き顔見たくないから』



地球は今狙われている!!

――と聞いて君は信じてもらえるだろうか?

18年前に壊滅したと思われていたエイリアン軍団『スペースマフィア』の残党が勢力を盛り返し、再び地球侵攻を企ててきた!
エイリアンは人間にインヴェード(憑依)して、社会に紛れながら悪事を働いている。
俺はそんなエイリアン達を倒すために再結成された秘密組織ブルースワットの隊員の一人、シュンだ。



俺は今、一人の女性を追跡していた。


blue1.jpg


今回のターゲット、本道 真里香、28歳。
元カリスマモデルで、大手アパレルメーカー社長の一人娘。
今はモデル業を引退し、社長の父親の秘書を務めている。

5日前、他の部隊がエイリアン達が活動拠点として使っていた一つの会社を摘発した。
その時に見つかった資料の中に、このアパレルメーカーからの不自然な額の資金の流れが見つかったのだ。
そして、その前後にエイリアン達がコンタクトを取った人物リストから浮かび上がってきたのが彼女だった。
つまり、彼女がなんらかの形でエイリアンと関わりがある、もしくは彼女自身がインヴェードされている可能性が高い。


俺は彼女の背中を見つめていた。
歩くたびに赤いスカートに包まれたおしりが魅力的に揺れる。
モデル業を引退したとはいえ、スタイルの良さは変わりなかった。

「やっぱ美人だなぁ。任務じゃなければ声を掛けたいぐらいだぜ」

「こら!聞こえてるわよ!!」

「うわぁ!」

いきなり耳元で怒声がして腰を抜かしそうになった。
声の主はミサ。
俺の幼なじみ・・・と言っていい。

俺が幼稚園の頃、ミサとは家が近所でよく遊んだものだ。
だが、ある日突然両親が交通事故で急死し、遠い親戚に預けられることになったといい、ミサは引っ越して行った。
その頃は俺もそうだとしか知らなかった。

実はミサの父親は先代のブルースワットの隊員だったのだ。
しかし、それを嗅ぎつけたエイリアンが妻、つまりミサの母親にインヴェードし、殺害を計った。
おしどり夫婦で有名だった両親が家の中で殺し合いを始めたことに、幼いミサは大きなショックを受けた。
結局、ミサの父親は愛する妻を撃たざる得なかった。

その父親もブルースワットが正式に発足する直前、ブルースワットの主任がエイリアンにインヴェードされ、本部が壊滅させられた事件の際に死んでしまった。
それからのミサは奨学金やバイトなど、石にかじりつくような生活を送った。
つまり、ミサはエイリアンによって両親を殺され、人生をめちゃくちゃにされたのだ。
だから俺とは全然重みや使命感が違う。


俺はというと、半年前に偶然エイリアンに襲われ、その時ミサに助けてもらった。
それがミサとの久々の再会だった。
そして、さっきのような真実を知った。
真実を知ったからにはもはやこれまでのような日常を続けることはできなかった。
俺はブルースワットに入隊し、今まで訓練やシミュレーションを積んできた。
だが、実戦は今日が初めてだった。


「大丈夫、鳴海教官に教わった通りにやれば大丈夫よ」

俺の不安を見透かしたようにミサが通信マイク越しに声を掛けてきた。

「わかってるって。サンキュー」

「べ、別にあんたのことを心配したわけじゃないんだからねッ!!あ、ターゲットが移動したわ!」

俺は本道真里香に視線を戻した。
彼女は一階がアパレルショップになっている商業ビルに入っていった。


追いかけようとすると、突然ビルの前に白い服を着た若い女性が現れた。

「これより本道真里香プロデュース、特別エステの無料体験を実施しま~す♪」

そう言いながらビラを配る。
ビルの前に続々と若い女性が群がってきた。
引退したとはいえ、一時はどの女性誌にも引っ張りだこだった本道真里香のネームブランドは健在だった。


「まずいなぁ」

あんな人が集まった中に、この格好で突撃したら強盗と間違えられるだけだ。

「私が私服に着替えて潜入するわ。シュンは別ルートから侵入して」

「了解!」

俺は私服に着替えたミサがエステの無料体験を受ける女性のフリして潜入するのを確認して、脇道にそれた。
ちょうどビルの横に非常階段を発見し、それを使って上に昇る。
我ながらスムーズな身のこなしだ。
だが、相手は地球外生命体エイリアン軍団。
どこで待ちかまえているかわからない。


建物の4階か5階ぐらいか、俺は非常口から建物内に入った。
幸い中は人気はほとんどなかった。
物影に隠れながら慎重に進む。

「いた!」

さっきまで追跡していた本道真里香の姿をとらえた。
隣にはでっぷり太ったややハゲ頭の灰色のスーツを着た中年の男性がいた。
彼女の父親に間違いないだろう。

「娘の真里香です。よろしくお願いします」

「どうぞよろしくお願いします」

商談中なのだろうか、社長は隣の彼女に頭を下げさせていた。

「それでは今後ともよしなに」

商談相手はそう言い去っていった。
彼女と父親が並んで通路を歩き出す。
俺は近くにあった掃除棚に隠れてやり過ごした。
どういうことだ?
どちらもインヴェードされているようには見えないのだが・・・


二人は階段を昇り、最上階の社長室に入っていった。
俺も後を追いかける。
だが、社長室は密室になっており、中をうかがい知ることはできなかった。
くそ、せっかくここまで来たのに・・・

その時、俺は通路の天井に通気口があることに気づいた。

「あれだ!」

俺は自販機を踏み台によじのぼり、通気口に入った。
そして狭い通気口の中を進み、社長室の天井のわずかな隙間から中をうかがった。
まるで江戸時代の忍者になったような気分だ。


本道真里香は社長室の机に座り、何か書類のような物をパラパラめくっていった。

「まあまあだな。だが、こんな売上じゃまだまだ足りん。来月はもっと稼いでもらうぞ」

!?

俺は真里香の態度や口調がさっきとは違うことに気づいた。

「お、お願いだ、なんでもするから娘の体を返してくれ!」

さっきまでは社長が偉そうで、真里香が父親に尽くす健気な娘秘書という感じだったのに、まるでさっきとは正反対に真里香がふんぞりかえり、社長が平身低頭している。
一体どうなってるんだ!?


「なんでもする?じゃあ明日までにこの口座に2000万入れろ」

真理香がニヤリと笑う。

「そ、そんな・・・先月も入れたじゃないか・・・」

「なんでもするんじゃなかったのか!?」

そう語気を荒げると、真里香はハンドバックから折りたたみナイフを取り出し、自分の首に突きつけた。

「わ、わかった入れる!だから娘の体を傷つけないでくれ!!」

社長は土下座した。

「わかればいいんだよ。アハハ!」

真理香はそう言うと、父親の頭を赤いハイヒールで踏みつけた。
キツいスカートを履いているのに大胆に股を開いている。
あれじゃあ父親からは娘のスカートの中が丸見えだろう。


やはり、本道真里香はエイリアンにインヴェードされていたのか。
そして社長である父親を脅迫し、多額の資金を出させていた。

だが、一つ俺の中で疑問があった。
なぜエイリアンは父親にインヴェードしなかったんだ?
わざわざ娘にインヴェードするより、権限がある社長にインヴェードしたほうがやりやすいはずなのに・・・


「安心しな、来週の賀峰グループの御曹司との結婚式にはちゃんと出てやるよ」

真里香は邪悪な笑みを浮かべながらそう言った。
賀峰グループといえば大手工業グループじゃないか!

「あ、ありがとうございます。だからせめて結婚式までには娘の体から出て行ってもらえないでしょうか? 愛娘のウェディングドレス姿ぐらい本人の姿を見たいのです」

父親が再び懇願する。

「なんだと、俺が娘じゃないってのか? 人間にインヴェードすればその人間の記憶・思考はすべて俺の物となる。だから俺は正真正銘、本道真里香なんだよ。だいたいお前が決めた結婚だろう」

そう言って真里香は再び父親の頭をグリグリと踏みつけた。
そうか、あいつが社長にインヴェードしなかったのは、真里香の立場を利用して一人で二つの会社を牛耳るつもりだったのか。


ピピッピピッ

その時、耳元で電子音が聞こえた。
ミサからの通信だ。

「どうした?」

俺は小声で通信を受けた。

「やっぱりエステの奥にはエイリアンが潜んでいたわ。今全部片付けたけど。やつらエステと称して若い女性を集めてインヴェードしようとしていたのよ」

「なんだって!?」

「若い女性は流行に流されやすく、同調性が高い。だからやつら若い女性にインヴェードして誤った流行や世論を作り上げ、ゆくゆくは男達を手玉に取り、人間社会を乗っ取ろうとしていたのよ!」

「なんてやつらだ!!」


「誰だ!?」

しまった!怒りのあまり思わず声を荒げてしまった!!
もうバレてしまったもんはしょうがない!
俺は通気口を蹴破り、社長室に降り立った。

「お前の野望もここまでだ!!」

俺はディクテイターⅡの銃口を向けた。


「ま、待ってくれ!撃たないでくれ!!」

だが、真里香の前に父親が立ちふさがった。

「そうだ、この娘がどうなってもいいのか」

真里香がうれしそうにニヤリと笑う。

「フン、お前の弱点はすでにリサーチ済みなんだよ!!」

そう言って俺は隠し持っていった納豆を彼女に投げつけた。

「くっ、なんだこれは!?」

彼女の顔が苦痛に歪む。
彼女は納豆アレルギーだと事前に調査済みなのだ!


「おのれ・・・生きては帰さん・・・」

彼女の顔が緑色の光に照らされた。

ヴィーヴィーヴィー


blue2.jpg



次の瞬間、周囲が奇妙な緑色の光に包まれると共に、唇が吹き飛びそうなぐらいの突風と頭が割れそうなぐらいの頭痛が襲いかかってきた。

彼女の背中からゲル状の物体が迫り出し、人型の形を作る。
それはやがて茶色い異形のエイリアンになった。

「グルル…」


blue3.jpg



「正体を現したな!エイリアン野郎!!」

俺はディクテイターⅡを構えて連射した。
エイリアンの体のあちこちに激しい火花が散る。
やったか!?

エイリアンの頭部から何かスライドしてきた。
次の瞬間、それが光を放ち、俺の周りに爆発を起こした。

「うわぁ!」

その隙にエイリアンは社長室を飛び出した。

「待て!」

慌てて後を追う。

「真里香!!」

視界の隅に真里香に駆け寄る社長の姿が見えた。


「そこまでよ!!」

通路を進むエイリアンの前にミサが銃口を突き付けた。

「助けに来てくれたのか!」

「べ、別にあんたを助けに来たわけじゃないんだからねッ! 私はただ…」

「エイリアンが逃げたぞ!!」

エイリアンは近くの会議室に逃げ込んだ。
俺とミサも後を追う。


「うわっ!」

「きゃっ!」

エイリアンは念力を使って、椅子やテーブルを投げ付けてきた。
俺たちは急いで会議室のテーブルの下に隠れた。
一瞬の静寂。

やるしかないな。
俺はキャスター付きの椅子を転がした。
うまくエイリアンが気を取られてくれた。


「おらっ!!」

その隙にテーブルの下から飛び出し、エイリアンにタックルをかました。

「サーチ!!」

ミサがエイリアンの弱点を探知する。

「あいつの弱点は両目よ!!」

「オーケー!!」

俺たちは二人同時にディクテイターⅡを放った。
弱点の両目に命中し、エイリアンは青白い炎となり、消滅した。



俺たちは社長室に戻った。

「真里香!!」

「あれ…パパ?私一体…」

「真里香!!」

父親はギュッと娘を抱き締めた。
その目からは大粒の涙があふれていた。
俺とミサは目を合わせて安堵した。



もし君の周りにいつもとは言動が違う人がいたら俺たちに教えて欲しい。
もしかしたらエイリアンにインヴェードされた人間かもしれない。
地球の平和は俺たちの肩にかかっている。



(短編『君の泣き顔見たくないから』おわり)


自由な色で広げたい




(※画像は加工可能なフリーイラスト集を使いました)





「へへっ、やっぱりきれいだな~、智香子さんのウェディングドレス姿♪」

僕はこんなに君のことを愛しているのに、別の人と結婚しようとするからいけないんだよ。

ショックで屋上から身を投げてしまったじゃないか。


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でも、おかげでこうして近くにいられるんだからいっか♪

「これから一生僕が君のそばにいてあげるからね♪」


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