信太郎シリーズ『美容室(中編)』



よし、お遊びはこれくらいにして、そろそろ本題に入るか。
俺はハサミを持ち直し、一咲に語りかけた。

「ねぇ、最近大学はどう? サークルは楽しい?」

「それがですね・・・」

と一咲は頼まれもしないのに俺のことをボロクソけなしてくれた。

「・・・というわけなんですよ」

「そ、そう。でも、ほら男の子もいろいろ大変じゃないかしら?」

「はぁ!? あんなやつ何も考えてない単細胞でただのスケベですよ!!」

「(て、てめぇ・・・一咲)」


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鏡に映る梨花子さんの笑顔は半分ひきつっていた。
まさか後ろにいる梨花子さんの中身がその俺だなんて夢にも思わないだろう。


「でも、一方的に決めつけるのはよくないわ。男の子だって人間よ。一方的に言われれば傷つくわ」

「そうですかぁ? そんな風には見えませんけど」

ピキピキピキ・・・

「(一咲てめぇ・・・人のことをなんと思ってんだ・・・)」

だが、ここで取り乱してしまったらせっかくの苦労が水の泡になってしまう。
俺は冷静に、極めて冷静に、仏のような心で続けた。

「とにかくその子にも言い分があるかもしれないわ。とりあえず話を聞いてみたらどうかしら?」

「は~い、わかりました」

一咲は不満げに口をとがらせながらそう答えた。
ふぅ・・・これで元の体に戻った後、話を聞いてもらえるようになっていたらいいのだが・・・
あんまり擁護すると「どうしてそんなに肩を持つんですか?」と言われそうだからなぁ。
このくらいにしておくか。


さてと、次は何をすればいいんだろう?
いくら体が覚えているとはいえ、手順までは覚えていない。
とりあえず目的は達成したことだし、この体から抜けるか。
俺は梨花子さんの体から離れた。

「あれ・・・? 私・・・」

意識を取り戻した梨花子さんはキョロキョロしていた。

「どうしたんですか梨花子さん?」

「私・・・今何してたっ・・・け?」

「えっ? 普通にカットしてましたけど・・・」

「そ・・・そう? 記憶がないんだけど・・・」

「今もサークルの話してたじゃありませんか」

「サークルの話?」

やべっ!!
俺はとっさに一咲に乗り移った。

「きゃっ!」

「一咲ちゃん!?」



目を開けるとそこには鏡に映った一咲がいた。
鏡がさっきより近い。
いや、鏡が近づいたのではなく、俺がいる位置が変わったんだ。

「一咲ちゃん大丈夫?」

梨花子さんが心配そうに俺の顔をのぞきこんだ。

「えぇ、大丈夫です。続けてください」

すげぇ、俺の口から一咲の声が出た。
って当たり前か、俺は今一咲に乗り移ってるんだから。

「そ、そうね」

と言って梨花子さんはカットの仕上げに入った。
ふぅ・・・なんとか切り抜けたぜ。


カットが終わると次はカラーに入った。
梨花子さんが慣れた手つきで俺の髪にカラー剤を塗り込んでいく。
それはとても気持ちよかった。
梨花子さんの手は細くて女の人のやわらかい感触がした。
さっきまで俺の手だったとはいえ、やはり触るのと触られるのでは感触が違う。

それにしても梨花子さんってほんと美人だなぁ。
動作一つ一つが艶っぽくて、男の欲望を刺激してくる。

「ねぇ、梨花子さん」

俺は一咲のふりをして話しかけた。

「ん~? どうしたの」

「梨花子さんって彼氏いるんですか?」

「もう何言ってるの いないわよ」

そう言って梨花子さんは照れ笑いした。

「えー もったいない! 私が男だったら絶対放っておかないのに!!」

「やだぁ 一咲ちゃんったら・・・そんなこと言われたら変な気持ちになるじゃない」

梨花子さんはそう言って苦笑いしていた。
俺は本心なんだけどなぁ。
女の体だと付き合えないし、男の体だと気軽にしゃべってもらえないし、とかくこの世は難しいぜ。


塗るのが終わり、カラー剤が染み込むまで俺はすることが無かったのでじっとしていた。

「雑誌読む?」

梨花子さんが気を利かして雑誌を持ってきてくれた。
女性向けファッション雑誌だ。

「ありがとうございます」

しょうがないので暇つぶしにペラペラめくる。
へぇ~ このモデルさんかわいいなぁ。
この子のおしりぷりんとしてて触りたいなぁ
・・・ってなんで俺は男目線で女性誌を読んでいるんだYO!


本格的にすることが無くなった。
梨花子さんは店の奥に行ったっきり戻ってこない。
この体から抜けてもいいんだが、またさっきみたいにサークルの話を蒸し変えされてつじつまが合わなくなるのも困るし・・・

「ふぅ・・・」

ため息をつくと、正面の鏡にはうつむく一咲の姿が映っていた。
一咲もこのくらいしおらしかったらかわいいのになぁ。
そうだ・・・

俺は自分のショートパンツの中に右手を忍ばせた。
肌に密着するレギンスの肌触りがした。
さらにその中、ショーツの奥まで手を伸ばしていく。

「ふぁっ・・・」

一咲の大事な部分に俺の指先が触れた。
やわらかい、まるで大トロのようだ。
さらに左手で自分の胸を揉んでみた。
首から下は布で覆われているため、見られる心配はない。

これが一咲の胸・・・
たしかバスト83って言ってたよなぁ。
爪先で乳首を刺激してみる。

「あっ・・・」

俺の口から普段絶対聞けない一咲の喘ぎ声が漏れた。
くっそ、一咲、俺のことボロクソ言いやがって。
パイ返しだ!!


俺は両手の指で自分の乳首をつかんでグリグリ回してみた。

「あっ・・・あんっ・・・」

声が漏れないように必死に抑える。
だが、体がこういうことに慣れてないのか、快感がストレートに襲ってくる。
鏡には顔を赤くし、目を細める一咲の姿が映っていた。
一咲かわいい・・・俺一咲最高!!

「信太郎君・・・いつもごめんね。私が信太郎君に冷たくしちゃうのは好きの裏返しなの・・・」

なんて一咲が絶対言わないようなセリフを小声で言ってみる。
すると、体がますます熱くなった。
もう我慢できないッ!!


俺は右手をショーツの中に忍ばせた。
男より長い爪で秘密の花園を突く。

「んんっ・・・ふあぁ!」

ショーパン、レギンス、ショーツの三重の圧力が程よくかかり、足に力の入らなくなるほどの快感の波が押し寄せてきた。
正面の鏡の中にはとろけている一咲が映っている。
俺はそこに架空の裸の自分を重ね合わせた。
すると、まるで俺が一咲を攻めているように思えた。

架空の俺が腰を激しく動かし、イスに座っている一咲を突いている。
そして、普段気の強い一咲がまるでまな板の上の鯉のようにされるがままになっている。
攻める快感と攻められる快感・・・
女になった男が一工夫すれば味わえる絶品の快感だ。

「(イ、イキそう!)」

その時、タイミング悪く梨花子さんが店の奥から戻ってきた。
慌てて服の中から手を抜き、平静を装う。
あとちょっとで一咲の体でイケそうだったのに・・・
でもまっいっか。
イッてたらイッていたで後処理が大変だったかもしれない。



その後、俺は梨花子さんに念願のシャンプーしてもらった。
梨花子さんの手が俺の毛根をほどよく刺激する。
ヘヘッ・・・ようやく梨花子さんの下乳を拝めたぜ。
おまけに脇まで拝めたのはうれしい誤算だった。

「どこかかゆいとこはない?」

「あの・・・股がうずくんです」

そう言って俺は足をもじもじさせた。

「もう、一咲ちゃんもお年頃なのね」

そう言って梨花子さんは苦笑いした。


髪をドライヤーで乾かしてもらった後、スタイリングしてもらった。
梨花子さんが俺の唇に軽く口紅を塗ってくれた。

「どう?」

梨花子さんに促されて正面の鏡を見ると、そこにはきれいになった一咲の顔が映し出されていた。

「うわぁ・・・」

かわいい・・・
髪はふんわりとまとめられ、目がパッチリ見えた。
下唇をキュッと噛んでみる。
鏡には頬を染めたかわいらしい一咲の姿が映し出されていた。
こんなかわいい一咲を自分の思い通りに動かせるなんて、優越感と罪悪感を同時に感じた。

「気に入ってもらえたかしら?」

「はい!ありがとうございます!」

「そう、それはよかったわ♪」

そう言うと梨花子さんは俺の体に巻かれている布を取ってパッパッと払った。

「お疲れさま♪」

「ねぇ、梨花子さん」

「ん?どうしたの♪」

「今度はそっちに入っていいですか♪」

「えっ・・・?」

俺は一咲の体から抜けて、再び梨花子さんの体に入った。

「!!」


髪が濡れてない・・・
目の前のイスには一咲が気絶していた。

「一咲ちゃん♪」

俺は梨花子さんのフリをして一咲の肩をポンポンッと叩いた。

「あれ・・・?」

一咲が意識を取り戻した。

「どうやら疲れて寝ちゃってたみたいね」

「ハッ!す、すいません!」

「いいのよ、もう終わったわ♪」

一咲は鏡を見てたしかに終わっていることを確認した。

「ありがとうございました~♪」

俺は梨花子さんの代わりにレジを打ち、一咲を見送った。
一咲は店を出た後も首をかしげ、釈然としない様子だった。

「ふぅ・・・うまく行ったぜ」

店に一人になったことをいいことに、俺は梨花子さんの声で男言葉をつぶやいた。


俺はレジの上に置かれている予約表に目を移した。
次の予約は20分後か・・・
俺と予約表の間に、ブラウスのレースを盛り上げる二つのふくらみが見えた。
俺は文字通り胸に手を当ててみた。

「さっきは一咲がいてじっくり堪能できなかったからなぁ♪」

その時、入り口のガラス扉を向こうを自転車が通った。
慌てて胸から手を離す。
ここじゃ落ち着かないな・・・

俺は入り口の扉に鍵をかけ、外から見えない店の奥に移動した。
さっきまで一咲が座っていたイスの周りには茶色い髪の毛が落ちていた。
一咲の髪の毛だ!!

俺はそれを拾い上げ、唇を「んちゅ~」とし、鼻の下に押さえつけた。
クンクン・・・一咲の匂いがする。
イスの前の鏡には、美人なのに変態行為をする梨花子さんの姿が映っていた。


(つづく)


(※画像は加工可能なフリー素材を使いました)

信太郎シリーズ『美容室(前編)』



俺の名前は信太郎。
地方の大学に通う平凡な大学生だ。
見上げる空は雲一つない青空だが、俺の心はどんより曇っていた
俺は今、サークルに行きづらくなっているのだ・・・


それは4日前のことだった。
うちの大学に所属するサークルは月に一度活動報告書を提出しなければならず、その日はその提出日だった。
活動報告書によりサークルごとの年間の予算や部室が割り当てられ、長期間提出を怠れば廃部もありえる大事な物だった。
俺の所属しているサークルでは持ち回りで出していて、今月は俺が当番だったのである。

だが、こういう日に限って移動教室が多かったり、教授につかまったりして、気づいた時には夕方だった。
やべっ!あと10分で窓口が閉まってしまう!!
うちの大学、変なところで時間に厳格だからなぁ。
しかし、次の授業は大事な授業内テストがあり、遅れるわけにはいかない。
どうしようか廊下で頭を抱えていると・・・

「あ、信くん」

同じサークルで幼なじみの優里が通りかかった。
ラッキー!
俺は渡りに船と、優里に活動報告の提出を頼んだ。

「え、え、ちょっと・・・」

優里は戸惑っていたが、急いでいた俺は「じゃあ頼むな!」とダッシュで立ち去った。


翌日、サークルに足を運ぶと女子部員の一咲(かずさ)が不機嫌だった。
なんでもあの後、優里は俺の頼みを聞いたために次の授業に遅れたらしい。
幸い同じ授業を取っていた一咲にノートを見せてもらって事なきを得たようだが、一咲は「女の子に一方的に仕事を押し付けて自分は逃げるなんてサイテー!」とたいそうご立腹だった。
ちなみに当の優里は「いいよいいよ、気にしなくていいよ」とやさしかったが、一咲にはその日は一切口を聞いてもらえなかった。

このままじゃまずいよなぁ・・・
その晩、俺は寮のベッドに寝そべりながら考えた。
明日ちゃんと二人に謝ろう。

翌日、俺は授業が終わった後、部室に足を運んだ。
だが、どういう風に謝ろうか頭がいっぱいで見えていなかったのだ。
女子用の部屋の扉の前にかかっている「着替え中」の札が・・・
上着をブラジャーの上までたくしあげた優里と一咲は目を見開いて驚いていた。
俺も一瞬氷ついてしまった。
こうして俺は自ら誤解を広げてしまったのである・・・


次の日。
このままサークルに行きづらくなるのも困る。
今日こそはちゃんと説明して誤解を解こう!
幸い今日は土曜なので午前中しか授業がない。

授業を終えた俺は学食で腹を満たすと、サークル棟に向かった。
部室に入ると、優里と一咲が楽しそうにおしゃべりしていた。
だが、一咲は俺に気づくとキッと俺をにらみつけてきた。

「何か用かしら変・態・さん」

うっ・・・やっぱり完全に誤解されている

「ち、違うんだ!これには訳があって!!」

「なんの訳かしら。女の子に用事を押しつけて、おまけに着替えをのぞくなんてほんとサイテーな男ね!」

「そ、そうじゃなくって・・・」

「帰りましょ、優里」

そう言って一咲は優里の手を引いて部室を出て行ってしまった。
優里は俺に悪いと思いながらも、一咲の気迫に負けてオロオロと引っ張られている様子だった。


あちゃー
ダメだ・・・完全に誤解されている・・・
俺はサークル練の男子トイレで小便をしながら考えていた。

これじゃあまともに話を聞いてもらえそうにない・・・
このまま一咲に嫌われれば、女子の間で悪い噂が立って俺の評判に爆弾マークが灯ることも・・・

どうすればいいんだ・・・
そうだ!こういう時こそ幽体離脱能力だ!!
俺は昔からなんの取り柄もないが、ある日交通事故のショックで、幽体離脱して他人に乗り移れるという特殊能力に目覚めた。

よし、そうと決まれば急がねば!
のんびりしていたら一咲を見失ってしまう。
俺は図書館に駆け込んだ。


図書館2Fの自習室。
あちこちからカリカリと鉛筆の走る音がする。
クーラーが効いていてめちゃくちゃ涼しい。

俺はその自習室の一番目立たない奥の机につき、適当にノートと筆記用具を広げた。
そして、その上に顔を伏せ、全身の力を抜いた。
まるで海の上で浮き輪につかまっているとように、フワ~と体が浮き上がる感覚がし、眼下には机に伏せて寝ている自分の姿が見えた。
よし、幽体離脱成功だ!

一咲はまだそう遠くに行ってないはず・・・
俺は窓ガラスをすり抜け、校門めがけ飛んでいった。


くそっ、見当たらない・・・
見失ってしまったのか・・・
俺はダメ元で大学に一番近い駅に向かった。

「いた!!」

駅の前の歩道を歩いている一咲の後ろ姿を見つけた。
どうやら駅で優里と別れ、一人らしい。
これはチャンスだ!
俺は彼女の近くに降下し、後をついて行った。

茶色いボブカットにショートパンツにレギンス姿。
歩くたびにショートパンツに包まれた小ぶりなおしりが揺れている。
そういえば、こうして一咲と1対1で向き合うことなかったなぁ。
一咲とは高校まで学校が違い、大学のサークルで知り合った。
両親は公務員らしく、授業をサボることもないし勉強もできる。
見た目も悪くなく、どこにでもいるイマドキの女子大生の中じゃ上の方だろう。
いかんせん気の強さが彼女のかわいさを半減させていた。


さて、どうやって誤解を解くか・・・
一咲に憑依しても意味が無い。
なぜなら、憑依すると体の持ち主の意識は眠ってしまうからだ。
眠っている人に説得をしても馬の耳に念仏だろう。

そんなことを考えていると、一咲はクイッと方向を変え、一件の美容室に入っていった。
俺も慌てて後を追い、ドアをすり抜けて中に入る。


「あら、いらっしゃい 一咲ちゃん♪」


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おっ!
俺は思わず声を上げてしまった。
きれいな美容師のお姉さんが笑顔で彼女を迎えたからだ。

「こんにちは、梨花子さん♪」

一咲の表情もパッと明るくなった。
お互い名前を知っているということは初めてじゃないよな。
行きつけの美容室ってところか。
店の中は清潔で、ところどころレンガ作りの箇所や花瓶があり、女性向けの雰囲気だった。

「ちょっと待っててね♪」

そういうと美容師のお姉さんは慣れた手つきでササッと前の客をさばいた。
たしか梨花子さんっていったな。
年は20代後半~30代前半といったところか。
結構・・・というか、かなり美人だ。



「ありがとうございました~♪」

梨花子さんが前の客を見送ると、店内には一咲と梨花子さんの二人だけになった。
正確に言うと俺もいるが、生身の人間からは幽体の俺の姿は見えないのでいないのと同じだろう。

「どうぞ~♪」

梨花子さんに案内され、一咲はイスに座った。
梨花子さんが一咲の体に髪が落ちないための布を巻いていく。
俺は斜め上空からその様子を眺めていた。
どうせ姿は見えないので別に真後ろにいてもいいのだが、なんか鏡の前にいるのは気が引けたのだ。

「大学の帰り?」

「ええ、はい」

「そう」

そう言って梨花子さんはニコッと笑った。
素敵な笑顔だ・・・
温かみがあってとてもチャーミングだ。

「じゃあシャンプーするわね♪」

梨花子さんはそう言うと、スイッチを押してイスの背もたれを倒し、一咲の髪を洗い始めた。
うらやましいなぁ・・・
きっと一咲の位置からは梨花子さんの下乳が拝み放題だろう。


やがてシャンプーが終わり、ドライヤーが当てられ、ヘアピンで軽く前髪が止められた。


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「今日はどんな髪型にする?」

「いつもよりサイドを少し短めでお願いします」

「はいはい~♪」

こうしてカットが始まった。
梨花子さん、気さくでいい人そう。
それにしてもこんなにリラックスしている一咲は初めて見たなぁ。

一咲は同性に対しては優しいけれど、異性に対しては厳しいとこがある。
おそらく「男は狼なのよ」と考えているたちなのだろう。
だから女だけになると警戒感が消えてこうなるのかぁ。

もし俺が女だったら素直に話を聞いてくれるかもしれない・・・
ゴクリ・・・
俺の視界にハサミを動かす梨花子さんの姿が映った。


梨花子さんの体を借りればうまく一咲を説得できるかも・・・
俺は梨花子さんの背後に近づいた。
白いブラウスに包まれた背中がきれいな弧を描いていた。
話題は近所のお菓子屋のことに移っていた。

「あそこのスイーツおいしいよね~♪」

「私あそこのモンブラン大好きなんです!」

女同士だからかガールズトークが盛り上がる。
あいかわらず一咲は普段俺には見せない柔らかさを出している。
その柔らかさを1%でも俺に見せてくれたら・・・
と、梨花子さんが後ろの台へ道具を取りに離れた。

今だ!!

俺はすかさず梨花子さんの背中に飛び込んだ。

「!?」

梨花子さんは目を大きく開き、台に手をつき仰け反った。
声を出さなかったのが幸いだった。
一瞬のうちに梨花子さんの意識に俺の意識が上書きされる。

ゆっくりと自分の体を見下ろすと、そこにはレースのボタンを盛り上げるふっくらとした胸と、スカートとニーソックスの間からのぞく絶対領域が存在した。

ゴクリ・・・

思わず生唾を飲み込む。
梨花子さんのきれいなのどを俺の唾が通っていく。
俺はスカート越しに自分の股間を触ってみた。
一咲には背を向けているため見られる心配はない。

スカートのつるっとした肌触りの奥には何の突起物も無かった。
俺は今、この美容室の店主、梨花子さんなんだ・・・
うひょ~♪


おっと、あんまりゆっくりしていると怪しまれてしまう。
俺は梨花子さんが取ろうとしていたハサミをつかんで席に戻った。

一咲は座ってじっと待っていた。
どうやら怪しまれてはいないようだ。
目の前に一咲の少しパーマのかかった後ろ髪と、いい匂いがした。
普段こんな至近距離に近づくことはないのでドキッとした。
正面の鏡には一咲の姿、その後ろに美人の俺の姿が映っていた。
へへっ、なんか不思議な感じだ♪


俺は意識をボーッとさせた。
こうすることで体が覚えていることを引き出すのだ。
例えば自転車をこぐ時にいちいち「右のペダルを踏んで、左のペダルを踏んで・・・」と考えている人はいないだろう。
それと同じように人間には無意識のうちに体が覚えていることがある。

そうすると俺の手は自然に梨花子さんのようにハサミを動かせていた。
きれいな手だ・・・
白く美しい手で一咲のちょっと天パーの入った髪を切っていく。

体の要求に従って、今度はくしを動かす。
俺には美容の知識は全く無いが、その手先の動きはなめらかで、まるで本物の美容師のようだった。
って体は本物の美容師だからなぁ

よし、これなら大丈夫そうだな♪
せっかくだからあれを聞いちゃおう♪


「ねぇ、一咲ちゃん♪」

俺はにっこり微笑みながら話しかけた。

「はい、なんですか?」

「スリーサイズ教えて♪」

「ちょ、ちょっといきなりどうしたんですか!」

男の体で言ったら絶対「死ね!スケベ!!」と罵倒してくるはずだが、今の一咲は顔を赤くしながら動揺していた。

「だって一咲ちゃんスタイルいいし~♪」

「そんなことありません!梨花子さんのほうがスタイルいいじゃありませんか!」

たしかに・・・
自分の体を見下ろす。
胸もくびれも素晴らしい。
おしりはどっこいどっこいといったとこか。
自分が一咲よりスタイルいいなんて変な気分だ。

「いいじゃない女の子同士なんだし~♪」

俺は一咲の髪を軽くかきあげながらそう言った。

「もう・・・」

一咲は顔を紅潮させて押し黙った。
いくら女同士でもさすがにこれは教えてくれないか・・・
と思った時、一咲がボソッとつぶやいた。

「上から83、61、85です・・・」

「ぶはっ!!」

俺は思わず鼻血を出して後ろに倒れそうになった。

「ちょ、ちょっと!大丈夫ですか梨花子さん!?」

「え、えぇ・・・大丈夫よ ぐふふふ」

「ぐふふふ?」

やべぇ・・・
一咲のスリーサイズ聞けちゃった・・・
しかも恥ずかしがりながら答える一咲、めっちゃかわいい・・・
やべっ、勃起しそう!
俺は思わず片膝を立てた。

・・・って、ちんちんがねぇ!!


(つづく)


(※画像は加工可能なフリー素材を使いました)