『みなみが敵!? 乗っ取られたキュアマーメイド!』




【アバンタイトル】

さかのぼること一日前・・・
ディスピア城のテラスでトワイライトは一人いらだっていた。
なかなかプリキュア達を倒すことができない… このままではお母様の逆鱗に触れてしまう…

「偽りのプリンセス…」

トワイライトは唇を噛み締めた。
力、立ち振舞い、知恵・・・あらゆる要素で自分のほうが上回っているのに、プリキュア達は団結すると思わぬ力を発揮する。
その力に不覚を取ってきた・・・ ならばその団結を崩してしまえば・・・

「ポゼッション!そこにいるわね!」

トワイライトが声を張り上げると、今まで城砦の影だと思っていた部分がむくむくと盛り上がり、赤黒い人型になった。

「お呼びでしょうか、トワイライト様」

彼の名はポゼッション。
実体を持たない影のような存在であり、他の生物の体に侵入して自由に操ることができる。
その能力によって、暗殺、内部分裂、世論操作など、ディスダークの勢力拡大のため様々な裏工作をこなしてきた。
その性質ゆえ、ディスダーク幹部の中でさえその存在を知らない者も少なくない。

「お前に任務を与えるわ。プリキュアたちの間に潜入し、やつらの絆をズタズタに引き裂くのよ!」

「ハッ!かしこまりました・・・」

(アバンタイトルに続く)






チュンチュンチュン・・・

翌朝、小鳥がさえずるノーブル学園の校門ーー
制服に身を包んだ生徒達が次々に登校してくる。

はるか「ごきげんよう!みなみさん☆」

みなみ「あら、ごきげんよう。はるか♪」

はるか「今日は風が気持ちいいですね☆」

みなみ「そうね、すっかり梅雨も明けて心地良いわね♪」

はるか「あーーーーーーーー!!!!」

みなみ「どうしたのはるか?」

はるか「2時間目の授業の教科書を忘れてきちゃいました… ちょっと寮に取りに戻ってきます!」

みなみ「でも、今から戻ったら遅刻してしまうわ」

はるか「うぅ・・・ どうしよう・・・」

みなみ「きららに借りたらどうかしら?」

はるか「そっかぁ! よ〜し、聞いてみよっ☆」

その後、はるかは隣のクラスのきららに教科書を借り、事なきを得た。
その次の休み時間。はるかはトイレに行っていて席を空けていた。
その間を縫うように、みなみが教室に入ってきた。

ゆい「あれ・・・生徒会長?」

ゆいはみなみがはるかの机から何かを抜き取るのを目撃した。



はるか「えーーーー!!! どうしてないのぉぉぉ!?」

きらら「ちょっとはるはる、ほんとに無くしたの?」

はるか「うそ・・・さっきまではちゃんとあったのに・・・」

みなみ「あら、どうしたの?」

はるか「みなみさん・・・きららちゃんから借りた教科書が見当たらないんです・・・」

みなみ「あら・・・それは大変ね」

はるか「どうしよう・・・ごめんねきららちゃん・・・」

きらら「んもぉ、いいよ。隣の人に見せてもらうからさぁ」





その日の放課後・・・
モデルの仕事に行くため校門に向かっていたきららはみなみに呼び止められた。

みなみ「きらら、ちょっといいかしら」

きらら「どうしたのみなみん?」

みなみ「ここだけの話だけど・・・」

きらら「えーっ!? はるはるが『こんなことぐらいで怒るなんてきららはケチんぼ』って言ってたーー!?」

みなみ「そうなの・・・」

きらら「うそ・・・はるはるがそんなこと言うはずがない・・・」

みなみ「でも、たしかに聞いたわ」

きらら「はるはるがそんなこと言うわけないし、でもみなみんが嘘をついてるとも思えない・・・」

みなみ「はるかは前々からあなたのことを快く思ってなかったみたいよ。陰で『最近のきららちゃん調子に乗ってる』と漏らしてたわ」

きらら「な、なにそれ!教科書貸してあげたのに無くたあげくそんなこと・・・」

みなみ「本当にひどいわよね。あなたが思ってるほどはるかは純粋な子じゃないわ。私はあなたの友人としてそれを忠告に来たの」

きらら「うん!あ、あ、ありがとうみなみん!」






放課後、花壇に水をあげるはるか。
そこに近づくみなみ。

みなみ「はるか、ちょっといいかしら」

はるか「どうしたんですかみなみさん?」

みなみ「きららのことなんだけど・・・」

はるか「えっ!きららちゃんがカンカンに怒ってた!?」

みなみ「えぇ、それはもう・・・」

はるか「でも、それは私が悪いんです・・・。私が教科書を無くしちゃったから・・・」

みなみ「『はるはるってほんとドジだよね。いつも周りに迷惑かけて。プリキュアの時も足手まといだし』とも言ってたわ」

はるか「そんな・・・ 本当にきららちゃんがそう言ってたんですか!?」

みなみ「悲しいけれど事実よ・・・。でも、私はプリキュアのことは関係ないと思うわ。いくらなんでも言い過ぎよ」

はるか「そ、そうですよね」

みなみ「私は何度もはるかに助けられたわ。だから自信を持って」

はるか「ありがとうございます!みなみさん!!」


みなみ「(ククク・・・ちょろいちょろい。それにしてもこの体、相当信用されてるな。こいつの体を選んで正解だったぜ)」





その日の夜ーー

「くそっ・・・」

女子寮の廊下を大股で険しい表情でみなみは歩いていた。
ポゼッションはいらだっていた。
みなみの記憶を読んでなりすますことは簡単だったが、生徒会長という立場ゆえ常に見られ、品行方正にしないといけない。

「せっかく女子寮にいるんだから一匹ぐらい・・・」

ポゼッションの欲望が蠢き始めた。


「あれは・・・生徒会長?」

たまたま廊下を歩いていたゆいはみなみの姿を見つけた。
いつもと雰囲気が違うようだった。
昼間のこともあり、追跡してみることにした。

「えっ!?」

物陰からみなみを尾行していたゆいは、みなみが通りがかった下級生を女子トイレに誘う姿を目撃した。
すぐさま後を追う。

「!!」

そこには信じられない光景が広がっていた。
みなみが下級生を壁ドンしていたのである。
艶かしく舌を首筋に縫わせ、右手でスカートの奥のふとももをさすっている。

「あなたかわいいわね・・・」

「やめてください生徒会長・・・」

ヘビににらまれたカエルのように下級生は怯えていた。
みなみの手がスカートのさらに奥に伸びる。
その時だった

「は・・やく・・・ 逃げなさい・・・」

苦痛に顔を歪ませながらみなみがそう言った。

「えっ・・・」

「はやく・・・逃げるのよ・・・」

みなみの手が緩んだ。その隙に下級生は女子トイレから逃げ出した。

「クソッ!」

みなみは鏡の中の自分を睨みつけた。

「まだ意識が残ってやがったのかこのアマ・・・」

そう言うと、みなみは自分の脇腹を殴りつけた。

「キャアッ!!」

自分で自分を殴りつけ悲鳴を上げるみなみ。
その異様な光景にゆいは足の震えが止まらなかった。






翌日ーー

きらら「フン!」

はるか「フン!」

アロマ「どうしたロマ!?」

パフ「ケンカはダメパフ~」

はるかときららの仲は悪くなっていた。
その後もポゼッションはみなみになりすまし、互いに互いの悪口を言ってると吹聴していった。
二人の仲は次第に険悪になり、一方で二人のみなみへの信頼度は上がって行った。




ノーブル学園の裏庭、人目のつかない木陰ーー

トワイライト「フフフ・・・計画は順調のようね」

みなみ「ハッ、トワイライト様」

トワイライト「頃合いを見て二人をおびき出しなさい。絆を引き裂かれたプリキュアなんて恐るに足りないわ」

みなみ「かしこまりました」

トワイライト「それにしても・・・」

トワイライトはみなみのあごに手を伸ばした。

トワイライト「憎たらしいプリキュアもこうして私の配下になってみるとかわいいものね・・・」

トワイライトの舌がみなみの口の中に伸びる。

みなみ「トワイライト様・・・///」

クチュクチュという音のあと、抜かれた舌からは糸が伸びていた。
陽射しに反射し、糸はきらきらと輝いていた。
だが、二人の計画は思わぬところからほころびをみせるーー



ノーブル学園の塔の上ーー

シャットは薔薇の花びらをちぎりながら嘆いていた。

「トワイライト様・・・」

ディスピア城のテラスで物憂げなトワイライトの姿を見たからである。

「よくも麗しいトワイライト様のお顔を・・・ 私がプリキュア達の首を手土産に持ち帰るのみ!」

塔の下を歩く生徒の姿を見つけた。

「ちょうどいいところに獲物が・・・ あなたの夢を見せなさい!シャット・ユア・ドリーム!!」



「きゃあああああっっっ!!!!!!」

ノーブル学園に悲鳴が響き渡る。

みなみ「なに!?」

ゆい「大変!はるかちゃん!ゼツボーグが!!」

はるか「ええっ!?」

きらら「一時休戦よ!」

はるか「うん!」

みなみ「(チッ・・・余計なことを・・・)」

(はるかときららの変身バンク)



逃げ惑う生徒を避難誘導していたゆいは、変身せずにどこかへ走り去るみなみを不審に思い、後を追った。

みなみ「トワイライト様、これは・・・!」

トワイライト「何も知らないシャットが専行したのよ! こうなったら計画変更よ」

そう言ってトワイライトはみなみに黒いドレスアップキーを手渡した。

トワイライト「これをお前が持っているパフュームに差し込めば変身できるはず。そしてゼツボーグと共にプリキュアを倒しなさい」

ゆい「な、なんで、みなみさんがトワイライトと一緒にいるの・・・」

みなみ「お前は・・・七瀬ゆい!!」

ゆい「あなたは・・・みなみさんじゃない!!」

みなみ「今頃気付いたか。だが、もう遅い。見られたからには生きて帰さん・・・」

そう言うと、みなみは不敵な笑みと共に黒いドレスアップキーをパフュームに差し込んだ。
黒い霧がみなみの体を包み込む。


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マーメイド「クケケケ!!!!」

ゆい「ひっ、ひぃ!」

トワイライト「フフッ、後は任せるわ」

鍵穴に消えてゆくトワイライト。
マーメイドは一歩一歩ゆいに近づく。
後ずさりするゆいの首に手をかけた。

ゆい「く、くるしい・・・」

マーメイド「死ね・・・!」

フローラ「はあああぁぁぁっっっ!!!」

その時、フローラのキックが炸裂した。

マーメイド「くっ・・・」

フローラ「大丈夫ゆいちゃん!?」

ゆい「う、うん・・・ゼツボーグは!?」

トゥインクル「あんなの朝飯前よ。それよりこれはどういうことなの!?」

ゆい「気をつけて、あいつはみなみさんじゃない・・・」

フローラ「えっ!」

ゆい「最近、みなみさんの様子がおかしいと思ってたの。あいつはみなみさんじゃなくてトワイライトの手下よ!」

トゥインクル「じゃあ私とはるはるがケンカしてたのも・・・!!」

フローラ「許せない・・・!!」


マーメイド「フフフ・・・愚かな奴らめ。だが、俺を倒せるかな? この体は正真正銘お前らの仲間の物だぜ?」

フローラ「な、なんですってー!?」

トゥインクル「よくもマーメイドをそんなおぞましい姿に・・・」

マーメイドはトゥインクルに飛び掛かった。
トゥインクルはとっさにそれをかわし、カウンターパンチの体勢を取ったが、みなみの体であることを思い出し動きが止まった。
その隙にマーメイドのキックが股に炸裂した。

トゥインクル「いったぁぁ~~い!!」

吹き飛ばされるトゥインクル。
フローラはマーメイドの背後から迫ったが、みなみの体であることを思い出し動きが止まった。
その隙にマーメイドのエルボーがフローラに炸裂した。

フローラ「きゃああぁぁ!!」

吹き飛ばされるフローラ。


フローラ「こ、これじゃあ手出しができない・・・」

マーメイド「どうした? お前達の実力はそんなものか?」

トゥインクル「このッ卑怯者ッ!!」

フローラ「どうすればいいの・・・」

トゥインクル「とにかくマーメイドの体を傷つけられない以上、動きを封じるしかないわ!」

再びマーメイドが迫る。
フローラがマーメイドの攻撃をかわしてる隙に、トゥインクルがマーメイドの後ろ手を取った。

トゥインクル「つかまえた☆」

マーメイド「くっ・・・」

トゥインクル「さぁ、観念なさい」

マーメイド「クク・・・バカめ」

マーメイドの口から赤黒い影が出てきた。

トゥインクル「なっ・・・!」

そしてそれはトゥインクルの口に殺到した。


black_tuikurl.jpg


トゥインクル「キャハハハハ!!」

今度はトゥインクルが豹変した。
元の色に戻ったマーメイドをフローラが空中キャッチした。

フローラ「大丈夫ですか!?」

マーメイド「ごめんなさい・・・私あいつに操られてあなた達の仲を裂こうと・・・」

フローラ「いいんです。それはマーメイドのせいじゃないんですから」

マーメイド「ありがとう・・・ それよりあいつをなんとかしないと。このままじゃ共倒れするまで戦わされるわ!」

トゥインクル「ヘッヘ・・・ さすが現役モデル。スタイル抜群だぜ」

そう言いながらトゥインクルは嫌らしい手つきで自分の体を触わり始めた。

フローラ「トゥインクルの体を勝手に触らないで!!」

トゥインクル「へへへ、今は俺の体だ。どうしようが俺の自由だろ」


マーメイド「はっ!」

マーメイドの飛び蹴りが放たれる。
トゥインクルはそれを片手で受け止めた。

マーメイド「きゃあっ!」

トゥインクルはマーメイドを放り投げ、落ちる背中に蹴りを食らわした。

トゥインクル「さっきまでそっちにいたんだからお前の技や癖はお見通しさ。さぁフローラ、次はお前の番だ・・・二ヒヒ」

トゥインクルは口角を釣り上げ、赤い目でフローラに狙いをつけた。
その姿はとても現役モデルとは思えなかった。
ファイティングポーズをとるフローラ。

先制攻撃をかけたのはトゥインクルだった。
トゥインクルのケンカキックをフローラはひらりとかわした。
続いて放たれたチョップをしゃがんでかわす。
さらに放たれたかかと落としもかわした。
トゥインクルのヒールで地面が陥没した。

フローラ「トゥインクル、ごめん!」

フローラは地面に手をつき、酔拳の動きでトゥインクルの背中に蹴りを入れた。

トゥインクル「ぐっ・・・くっそぉ・・・」

崩れそうになった体勢を直したトゥインクルはフローラに迫る。
二人は両手の平をつかみあい、にらみ合いになった。


トゥインクル「ヒヒヒ・・・フローラ お前の方が強そうだな♪ そっちに乗り換えてやる・・・」

トゥインクルの口から赤黒い影が出てきた。

フローラ「今よ!!」

ピカーン!

マーメイド「プリキュア!マーメイドリップル!!」

大量の水流がトゥインクルの口に流れ込む。
トゥインクルのお腹が水風船のようにパンパンに膨らんだ。

トゥインクル「おげーーーーーー!!」

そして、トゥインクルが苦しくなって吐き出したと同時にポゼッションが外に出てきた。
トゥインクルの色が元に戻る。

トゥインクル「げほっ げほっ」

フローラ「大丈夫?」

トゥインクル「あれ・・・私・・・」

フローラ「あいつに体を乗っ取られてたの」

フローラが指す方を見ると、赤黒い影が蠢いていた。

トゥインクル「げっ・・・ あんなやつに体を乗っ取られてたなんて最悪・・・」

マーメイド「やつが外に出てきた今がチャンスよ!」


3人「「「エクスチェンジ!モードエレガント!!」」」

(中略)

ポゼッション「グゲェェェェェエェェェェェェ!!!!!!!!!!」



こうして、ポゼッションは倒され、再び平穏が戻った。

はるか「きららちゃん・・・ごめんなさい!」

はるかは深々と頭を下げた。

きらら「いいよ、はるはる。私の方こそごめん」

ゆい「よかったぁ♪」

はるか「ゆいちゃんもありがとう! ゆいちゃんが気づいてくれなかったらあのまま喧嘩したままだったかも」

そう言って、はるかはゆいに抱きつき、頬をすり寄せた。

ゆい「もうっ、はるかちゃんったら・・・///」


みなみ「仲直りできてよかったわ♪ 操られている間、意識があったから辛かったわ。自分の手で二人の仲を引き裂くなんて・・・」

はるか「みなみさんは悪くないですよ」

きらら「そうだよ、みなみんは悪くないよ。あれぇ・・・でも、私は操られている間、記憶がなかったんだけどなぁ・・・」

あごに指を当て、上を見上げるきらら。

はるか「それはきららちゃんが鈍感だから・・・」

きらら「ちょっと!それどういうことはるはるぅ!?」

アロマ「ロマッ! ケンカはダメロマ!?」

「「「アハハハハハハハハハハハ」」」

一同からドッと笑いが起きた。
(カメラ引いていく、俯瞰)

(おしまい♪)



テレレッテッ テレレッテレ

輝くメモリ~~♪

脚本:憑五郎