短編 『キャンプ』



「何ィ!?」

その話を聞いた時、俺は思わず声をあげてしまった。
大学の夏休みが始まったある日、ふらっとサークルの部室に寄ったらみんながキャンプの準備していたからだ。

「悪いな、信太郎。だってお前に電話しても全然つながらないんだもん」

「あの時はバイトが忙しくて、おまけに携帯が電池切れでたまたま出られなかったんだよ! せめてメールぐらいしてくれよ」

「ごめんね、信くん・・・」

「じゃあ行くぞー」

部長の麻佐実の掛け声でメンバーがぞろぞろと部室を出ていく。
ちくしょう、俺だけ仲間外れかよ・・・
よーし


家に帰った俺はエアコンを全開にして布団に横になった。
そして俺の特殊能力:幽体離脱を発動した!
空を飛び、キャンプ場へ向かう。

「イエーイ!」

キャンプ場ではすでにあいつらが楽しそうにバーベキューをしていた。
くそぅ・・・俺を除け者にして自分達だけ楽しみやがって・・・
よーし


俺は姉御肌の部長の麻佐実に近づいた。
そして彼女に乗り移った。

「ひやっ!」

「どうしたんですか部長?」

自分の体を見下ろすと、赤いTシャツに白いジェケット。
それにフリル付きの青いスカートから伸びる白い生脚が見えた。


「ううん、なんでもない。それより食べましょ!」

俺は目の前のバーベキューの串を手に取った。

「う~ん♪ 最高~♪」


camp1.jpg


こんなおいしい物を自分たちで一人占めなんてずるいぜぇ♪
俺は二本、三本と次々に頬ばった。

「部長、そんなに食べて大丈夫ですか?」

「大丈夫♪大丈夫♪」

へへっ、俺を仲間外れにした罰だ。
きっと帰ってから体重計に乗って驚くぞ~♪


バーベキューが終わると、男どもは川で水遊びを始めた。
ずぶ濡れになりながら水を掛け合っている。
あれじゃあトランクスまで水びだしだろう。
まったく男子ってほんとバカだなぁ。
俺もほんとは男子なんだけど・・・

「麻佐実~~」

そんなことを考えていると誰が俺を呼ぶ声がした。
見るとテントから部員の里佳が顔を出していた。


camp2jpg.jpg


「女子用のテントはこっちだからね~ あ、男子は入って来ちゃダメだからね~」

デヘヘ・・・今日はあの中で女子と一緒に寝ることになるのか。
最高のキャンプになりそうだ♪
憑依最高!!



(短編 『キャンプ』おしまい)


※画像は加工可能なフリーイラスト素材を使いました


コメント

No title

とてもいいですね!

平和な憑依もいいですね
面白いです

No title

>チラさん
ありがとうございます!

No title

>ハヤテさん
どうもありがとうございます
平和な憑依という概念はおもしろいですね。
実際、もし自分が憑依能力を手に入れても、警察沙汰になるようなことはしないかも(苦笑)
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