短編『その男たち、共謀につき』


瀬町 翔悟(せまち しょうご)と佐々森 牧斗(ささもり まきと)はウン友であった。
話は彼らが子供時代に遡る。
当時彼らの学校では、男子がトイレの個室に入ると「うんコ~!うんコ~!」とからかわれる風潮があった。

そこで、二人はどんなに漏れそうな時でもギリギリまで踏ん張って、図書館裏の人があまり来ないトイレに駆け込んでいたのである。
たまに同じ時間に重なることがあり、めったに人が来ないトイレだったので、お互いに「隣の個室に誰か入ってる・・・誰だろう・・・」と不思議に思っていた。
そんなある日、たまたま二人は同時に個室から出た。
一瞬、二人は目を見合わせ、そして爆笑した。
今までずっと疑問に思っていた謎の人物の正体がクラスメイトだったからである。
それ以来、二人は固い絆で結ばれたウン友(Unko Friends)になった。


やがて盛りのつく頃になると、彼らはチン友(Chinko Friends)にもなった。
彼らはそれぞれ自分の好きな女優やアニメキャラの切り抜きを持ち寄って、たわいもない談義で何時間でも過ごせた。
そんな彼らも一応人並みに進学し、大学生になっていた。


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瀬町 翔悟は一見するとチャラそうに見えるが、サブカル系にも強く、牧斗と一緒にアニメ映画を観に行ったりゲームもする。
中学時代はバスケをやっていたが、「ボールを追うのは飽きた」という理由で辞めてしまった。
リア充の輪でもオタクの輪でも入っていけるのが自慢だが、逆に言えば何事にも中途半端だった。

眼鏡を掛けている佐々森 牧斗は小さい頃、神童ともてはやされるほど頭が良かった。
全教科100点に近く、両親は彼に合体ロボ、最新のゲーム機、高性能パソコンを買い与えた。
だが成長すると共に彼の才能は他の生徒と変わらなくなり、代わりに彼の才能はオタクの道に目覚めていった。
両親の期待が弟へと移ると共に、彼は自由を手にするのを感じた。

見た目も性格は違う二人だが、不思議とウマがあった。
それは彼らがウン友(Unko Friends)だからである。
社会から迫害されるほど結束が強くなる新興宗教の信者のようなものだった。


今日も二人は牧斗の部屋で暇を持て余していた。

「なんかおもしろいことねぇかなぁ」

壁にもたれてジャンプを読んでいる翔悟がつぶやいた。

「彼女でもいればなぁ」

眼鏡を外し、畳に仰向けに寝転びながらソーシャルゲー中の牧斗が答えた。

「俺たちみたいなやつらに彼女ができるわけないだろ」

「アハハ・・・」

二人から乾いた笑いが漏れる。
いつもと変わらないデガダン(怠惰)な昼下がりであった。


ピンポーン!とインターホンが静寂を破った。
部屋の主、牧斗が眼鏡を拾って慌てて玄関に駆ける。
配達員がドアを閉めると、牧斗は漫画を読んでる翔悟の方を振り返り、ニヤッと笑った。

「なんだ?」

「ついに"アレ"が届いたぞ!」

「"アレ"?」

「憑依薬だよ!」

「おぉ!!」

二人は前に偶然ネットで見つけた憑依薬で幽体離脱して女の子に乗り移りまくり、遊びまくっていたのある。
しかし、憑依薬が底をつき、禁断症状に陥っていた。
憑依薬は大学生の一ヵ月のバイト代ぐらいする上、前払いで忘れた頃にやってくるというリスキーな代物だった。


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「「ウン友どっこいしょ!ウン友どっこいしょ!」」

二人はズボンをトランクスごとおしりの下までおろし、その場で両手両足を左右は交互に上げ、奇怪な踊りを踊った。
これは彼らが子供の時に考えた"ウン友、喜びのサンバ(Untomo Fun Sanba)"である。
喜ばしいことがあるとこのサンバを踊るのが彼らの流儀であった。半ケツは死刑である。

「早速女に乗り移りまくろうぜ!」

「もろちんだぜ!!」

二人は鼻をつまみながら憑依薬を一気飲みし、幽体離脱して出掛けた。


空は青く輝き、絶好の行楽日和だった。街はいつもと変わらない日常を営んでいた。
変なのはこの二人だけである。
もちろん幽体なので、一般の人間には見えない。

「あそこを見ろよ!」

上空30m付近で翔悟が地上を指さした。

「(。´・ω・)ん?」

牧斗が翔悟の指さす方を見ると、日本風の住宅やマンションの間に一つだけ西洋風の立派な建物が見えた。
よく見ると教会のような形をしており、その前の庭には色とりどりの華やかなパーティードレスに身を包んだ女性たちが集まっていた。
かなりの数がいる。50人ばかりか。もちろん男性もいる。男性はタキシードを着ている。


「あれはたしか結婚式場だったはず」

「俺、一度ウェディングドレス着てみたかったんだよな・・・///」

「はっ!?」

翔悟の意外で大胆な告白に驚きつつも、牧斗は心の中で「わかり哲也」とつぶやいた。

「だって、ウェディングドレスって男じゃ絶対着れない女の子だけの憧れだろ?」

「たしかに。あのヒラヒラとかスベスベとかいいよな」

「そう!ヒラヒラとかスベスベ!!」

擬音で伝わってしまうのもウン友(Unko Friends)の特徴である。


「そうと決まったら、早速花嫁に憑依しに行こうぜ!!」

「あぁ、花嫁にはまだ一度も乗り移ったことないしな」

二人は顔を見合わせ「イヒヒ」とほくそ笑んだ。
二人は花嫁探しに、降下して建物の中に侵入した。
中は外の喧騒とは違い、ひっそりとしていた。

長い宮殿のような豪華な廊下を幽体で進む。
廊下の向かいからカートを押したボーイが近づいてきた。

「おい、ぶつからないように気を付けろよ」

「あぁ」

翔悟の注意に牧斗はドキッとした。
というのも、数ヶ月前に牧斗は幽体離脱中に美女を探してキョロキョロしていたら、うっかり向かいから歩いてきたおばあさんに気づかずぶつかって乗り移ってしまい、よろけて道路に飛び出し、あやうく車に轢かれそうになった経験があるのだ。
あの時、とっさに翔悟が近くにいたヤンキーに乗り移って牧斗おばあちゃんを引っ張ってくれなければ、牧斗は今ごろお陀仏さん(Mr.Odabutsu)になっていたかもしれないと思うと、いつもゾッと背筋が寒くなるのだった。




「花嫁はどこかなぁ」

「おい見ろよ、あそこに"花嫁控え室"って書いてあるぞ!」

翔悟の指す方を見ると、たしかに廊下の一室の前に白い紙に墨で"花嫁控え室"と書かれていた。

「よし行くぞう!」

二人は花嫁控え室のドアをすり抜け、ダイナミック入場した。


花嫁控え室の中は結構広く、ベッドや化粧台、大きな鏡など、いずれも豪華な装飾品に彩られており、まるでおとぎ話に出てくるお姫様の部屋のようだった。
中には二人の女性がいた。


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「どうですか?」

「えぇ、とってもよくお似合いですよ♪」

「本当に・・ありがとうございます」

「いえいえ、素敵な結婚式をお手伝いさせていただくことが私共にとっても幸せですから♪」

会話の内容からして花嫁とスタッフの女性だろう。
花嫁は大きな鏡を見ながら自分のウェディングドレス姿にうっとりしており、その背後からスタッフの女性がにっこりしていた。

「おい、どっちも美人だな」

「あぁ」

翔悟が軽口を叩く。別に幽体なので彼女たちに彼らの声は聞こえないのだが、なぜかヒソヒソ話になってしまう。

「どっちに乗り移る?」

「もちろん俺は花嫁の方だぜ♪」

「じゃあ俺はスタッフの女性にしよう♪」

お互いターゲットを確認した二人は早速、背後から彼女たちの身体に侵入した。


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「えっ」

「きゃっ」

突然の身体の異変に彼女たちが小さな悲鳴を上げる。
だが、それも一瞬のことだった。


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「おい、そっちはどうだ」

花嫁が口汚い言葉を放つ。

「あぁ、憑依成功だぜ♪」

さっきまで敬語だった彼女たちが突然タメ語になった。

「やっぱ女の身体はいいなぁ♪」

「あぁ、憑依ってやっぱり最高だぜ!」

そう言いながら二人の女性は自分の胸を揉みながらうっとりしていた。
久しぶりの憑依に二人は満足感を覚えていた。


「どうだ?ウェディングドレスの着心地は?」

スタッフの女性、もとい牧斗が問いかける。

「あぁ、スベスベしてて気持ちいいよ。でもなんか締め付けられる感じがする」

ウェディングドレスを着た翔悟が顔を赤くしながら答える。

「そういえば、ウェディングドレスの中ってどうなってんだ?」

「どうなってる・・ってお前が着せたんだろ?」

「知らんがな」

さっきまでの花嫁とスタッフの女性とは思えない会話が続く。


「しょうがねぇなぁ、見せてやるよ」

翔悟は白いスベスベした手袋をはめた手で自分のウェディングドレスの裾をつまみ、たくしあげた。

「・・ん? んん!?」

だが、膝まで来たところで、スカートが長過ぎ&ボリュームあり過ぎて、それ以上たくし上げることができないことに気づいて戸惑っていた。
鏡にはバッチリメイクをしているのに、スカートをたくし上げてガニ股になっている情けない花嫁姿が映っていた。

「なにやってんだよ」

「ちくしょう、これ以上あがらないんだよ」

「しょうがないなぁ、俺が見てやるよ」

そう言うと、牧斗は床に四つん這いになった。
スタッフの女性はタイトスカートを履いているので、おしりが締め付けられる。
そのまま前進すると、黒ストッキングに包まれたおしりとタイトスカートの裏地が擦れて気持ち良かった。

牧斗はウェディングドレスのスカートをのれんのようにくぐり中に入った。
途中、後ろ髪のお団子がちょっと引っかかった。

「どうだ?」

上から翔悟の美声がする。
中は当然暗かったが、ウェディングドレスが白ということもあり、光が結構入ってきた。
牧斗が顔を上げると、レースの着いた白いショーツがまさに目と鼻の先に現れ、ドキッとした。

ショーツはむっちりと隙間から肉がはみ出し、ややきつめに見える。
その下にはガーターベルトみたいに白のオーバーニーソックスが止められ、上半身は矯正用の白のビスチェが着せられていた。
翔悟の感じる締め付けとはこの事だろう。

「やっぱりきつめの下着みたいだぜ」

「そうか、花嫁って華やかそうに見えて結構大変なんだな。自分で見れないのが残念だが・・・ん?」

その時、翔悟は股間にグニョリと当たる感触がした。
クンクン・・・
それはすぐに牧斗の鼻だとわかった。

「お、おい!何してんだよ!」

「いやぁ、結婚式前の花嫁の股間ってどんな匂いかと思って」

「変態かっ!!」

だが、スカートの中で美人スタッフが自分の股を嗅いで恍惚に耽っていると思うと悪い気持ちはしない。

と、気を許したのも束の間、今度は何かやわらかい物が自分の割れ目の上を行ったり来たりしている感触に襲われた。

「ひゃん!」

思わず、翔悟の口から女の子の声が漏れてしまう。
牧斗が舌でショーツの上から翔悟の割れ目を舐め始めたのだ。

「こ、こら、やめろ!」

思わずスカートの上から牧斗の頭をつかんだ。
何か固い物をつかんだ。
おそらく牧斗のお団子だろう。

ペチャ・・ぺちゃり・・・

牧斗が嫌らしく舌を動かす。翔悟は次第に体全体が熱くなるのを感じた。
牧斗の頭をつかみながら、天をあおぐ。
股間から快感が湧き上がってきて、ショーツがぐしょりと濡れる感覚がした。

スカートの中から牧斗が出てきた。

「ったくお前ってやるは・・・」

「へへっ、おいしかったぜ♪ 花嫁の蜜は♪」

そう言って、牧斗はペロリと舌を出して口の周りの舐めてみせた。
くやしかったが、見た目が美人スタッフなので、どこか憎めなかった。
翔悟は乳首が硬くなるのを感じた。


「なぁ、チューしようぜ」

牧斗がジト目で切り出した。

「チュー!?」

「だってその花嫁は数時間後・・いや、数十分後には誓いのキスをするんだぜ。その直前に奪うって興奮しないか?」

「NTR(寝取られ)ってことか・・・」

「いや、CNTR(直前に寝取られ)ってことだ」

「わけわかめ。まぁいいぜ、おもしろそうだ」

「それでは誓いのキスを・・・」

牧斗は神父の口調を真似てそう言った。


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二人は体を寄せ合い、目を閉じて唇を重ね合わせた。
互いの前髪がこすれ合う。
唇の感触はどちらも"やわらかかった"

結婚式直前に花嫁控え室で、花嫁とスタッフの女性が秘密のキスをしている。
常識では考えられない光景、アンビリバボー。

「んっ・・」

「んんっ・・・」

二人は舌を絡み合わせた。
翔悟にとってはウェディングドレスの胸から上の肌が露出している部分に、牧斗のブラウスの大きなリボンが当たり心地よかった。
牧斗にとってはか弱い花嫁のボディが自分の体と当たって気持ちよかった。

「んんっ・・・」

「んん~~」

二人の舌が次第に激しく絡み合う。お互いに幸福感に包まれた。
いつかこんなかわいい女性と本当に誓いのキスをしてみたい・・・
互いにそう思っていた。
次第に二人は自分の股間がジワッと熱くなるのを感じた。


\コンコン!/

その時、誰かがドアをノックする音がした。

「「んっ!」」

二人は驚いて唇を離した。
二人の唇からは糸が垂れていた。

「気持ちよかったぜ・・・」

「あぁ・・この辺にしておくか」

二人はそれぞれ自分の口から垂れているよだれを拭き、身体から抜けた。
すぐに花嫁とスタッフの女性が意識を取り戻した。


\コンコン!/

なかなか反応が無いので再びノックされた。
慌ててスタッフの女性がドアに駆け寄る。
翔悟と牧斗はその様子を空中から見ていた。

「こんにちは~」

ドアが開けられると、三人のパーティードレスを着た若い女性がなだれ込んできた。

「マリ!きれいじゃない~♪」

「「きれい~♪」」

花嫁の姿を見たパーティードレスの先頭の女性が声を上げ、周りの女性も同調した。

「うん、ありがと♪」

花嫁は恥ずかしそうにうつむくと、上目遣いで三人を見た。その姿を見て、翔悟はもっといろんなことをしておけばよかったと思った。
三人と花嫁は話し込み始めた。
どうやら三人は花嫁の友人らしかった。

その様子を後ろで微笑みながら見ていたスタッフの女性は花嫁の口紅が少し落ちていることに気づいた。
どうして・・さっき塗ったばかりなのに・・・


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まさか落ちた分の口紅が自分の口についているとは夢にも思わないだろう。


その様子を見ながら、翔悟と牧斗はおもちゃの猿のようにキャッキャッ笑った。

「パーティードレスもいいな」

「あぁ、次はパーティードレスの女に乗り移っているか」

そう言うと二人はドアの向こうへ消えていった。


(おわり)

コメント

さすがです。
今度ぜひ皮モノの話書いて欲しいです。

> さん

>さすがです。
ありがとうございます!どの部分を気に入ってもらえたかわかりませんが、喜んでいただけたなら幸いです。
個人的に最後の口紅が移るとこがお気に入りです♪

>今度ぜひ皮モノの話書いて欲しいです。
皮モノは普段の妄想でもほとんどしないので、そんな僕が皮モノを書くと、フレンチシェフが作った和食のような場違い(Bachigai)な物にならないか不安です。
しかしながら興味がないことはないので、気が向いたら書いてみたいと思います。
応援ありがとうござる!
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