スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

短編『配達』



心もとない街灯に照らされた夜道を抜け、俺は自宅に戻ってきた。
電気を点ける。
木造オンボロアパートなので隙間風で戸がガタガタ揺れる。

ふぅ~ 今日は最悪だったぜ。
俺はさっきまで弁当の配達のバイトだった。
注文を受けてバイクを走らせたが、道が混んでいて予定より5分遅れてしまった。


配達先は一人暮らしの女の部屋だった。
チャイムを押すと茶髪のショートカットの女が出てきた。


mezame1.jpg


なかなかの美人だな、と思っていると、「遅い!」を皮切りに罵詈雑言の嵐。
「誠意がない」だの「弁当が冷めてる」だの、平謝りしていると、あげくの果てに「ブサイク」だの「キモい」だの人格まで否定される始末。
お前弁当にいくら払ってんだよ、ってな。

しかもあの女、店にも電話しやがって、帰ってきてから店長にこってりしぼられるし、ほんと今日は最悪だったぜ。


俺は畳にあぐらをかき、ちゃぶ台の上のパソコンを立ち上げた。
貯金も定職もない俺にとってエロだけが唯一の楽しみだ。
へへっ、この娘かわいいな~♪

いつも通り新作エロビデオのチェックをしていると、変なサイトを見つけた。

“あなたに憑依のやり方を教えます!”

“幽体離脱して好きな女の子に乗り移ってみませんか?”

憑依ねぇ~ そんなのできたら楽しいだろうけどなぁ。
その下には詳細に憑依のやり方や図が載っていた。
ジョークにしてはやけに凝ってるなぁ。
へへっ、試してみるか。


俺はその場に横になった。
そして、サイトに載ってる手順で「体から抜けたい」と強く念じた。
すると体がスーッと浮き上がり、眼下に寝ている自分が見えた。

「お、おい!マジかよ!?」

肉体の感覚がない。
まるで幽霊のようにふわふわ空中に浮いている。
これが幽体離脱か…

ど、どうしよう…
たしか女に乗り移れるんだよな…
そうだ!さっきの女に復讐してやる!!


俺は笑顔のウェイトレスのポスターをすり抜け、外に出た。
「浮きたい」と念じると、体がふわりと浮き上がり、夜空を鳥のように飛行できた。
気持ちいいなぁ~
眼下に見える帰宅ラッシュの渋滞も今の俺には関係ない。

たしかこの辺だったよな。
俺は住宅街に降り立った。
1時間半前に配達したばかりだったので、幸い住所は覚えていた。

俺の木造オンボロアパートとは月とスッポンの、鉄筋の3階建てのきれいなアパート。
その1階の真ん中の部屋…102号室
俺は玄関のドアをすり抜け、中に入った。
電気は点いており、床には女物のファッション雑誌や小物が転がっていた。
奥からテレビの音がする。

進むと、さっきの女がテレビの前であぐらをかき、お笑い番組を観ながらゲラゲラ笑っていた。
キャミソールに緩いショートパンツというラフな格好。
手にはウサギのクッションを抱えている。


人の気も知らず、バカ笑いやがって…
この女のせいでこっちがどんだけ割り食らったと思ってんだ!
俺を怒らせたことを後悔させてやるッ!!

俺は背後から女の体に飛び込んだ!

「いっ!?」

女の顔が一瞬ひきつる。
次の瞬間、肉体の感覚が戻ってきた。

だが、自分の体の感覚じゃない…
体が一回りも二回りも小さく、まるで中学生に戻ったような感じ。
髪が重くざらざら頭にまとわりつき、胸にはんぺんが詰まってるようだ。

ほんとに女に乗り移れたのか…

細い肩ひもが食い込む感触は初めてだなぁ。
ショートパンツの感触はトランクスとあんまり変わらないなぁ。
トランクスよりもこもこしている。


俺は細い足で立ち上がり、鏡の前に移動した。
鏡の中にはさっきの女が映っている。
黙っていれば美人なのに、性格ブスめ。

鏡の中の女にまだピンク色の艶やかな口紅が残っているのに気づいた。
へへっ、女の口紅って一度味わってみたかったんだよなぁ。
俺は舌で丹念になめ回した。


mezame2.jpg


あんまり味がしねぇ。
小さい頃、間違ってクレヨンを食べた時を思い出した。
だが、それよりはるかに味が薄い。
それもそうか、女はこれを付けて飲んだり食べたりしてんだから味がしたら困るよなぁ。


さ~て…
俺は部屋を見渡した。
一人暮らしの女の部屋…
当然置いてあるのはすべて女物。
こんな光景を拝めるのは合鍵を持ってる彼氏か空き巣ぐらいのもんだろう。

と、台所に弁当の容器を見つけた。
俺が配達した弁当だ。
しかも食べ残してやがる。
どこまでもくそったれ女だ。
食い物の恨みは怖いぞ~

せっかくだからこの女にふさわしいやり方で完食してやる。


俺は弁当を鏡の前に置いた。
そして床に四つんばいになり、貪り始めた。
鏡には野良犬のように下品な女が上目遣いでこっちを見ている。
下品なお前にはお似合いだぜ。

「わんわん!」

俺は犬のように鳴いてみた。
ブルドックみたいな声が出ると思ったら子犬のような声が出たのでちょっとビビった。
辺りに残飯が飛び散る。

焼きちくわを舌でなめ回しながら食べる。
歯を立てるとまるで自分で自分のをくわえてるようで興奮した。

うっ…
だんだん苦しくなってきた。
女ってこんな分量すら胃に収まらないのか。

満腹中枢は悲鳴を上げてるが、俺は食べ続けた。
こいつを太らせるためだ。
きっと明日体重計に乗って驚くぞ~ ククク…

うっぷ…
俺はその姿で弁当を完食した。
最後に記念に弁当のふたに付いてた俺の指紋にキスをしてやった。



さ~て、次はどうしてやろうかなぁ~
おっ、イスの上にプリクラの付いたノートパソコンを見つけた。
どれどれ俺がチェックしてやろう。

パソコンを立ち上げるとピンクの花柄の壁紙が現れた。
この女にはふさわしくない壁紙だ。
俺がふさわしいのに変えてやろう。

俺はネットにつなぎ、エロサイトを回った。
女の体でエロサイトを回るっていうのはなんだか新鮮だ。
お気に入りから一発で飛べないのはちょっとばかり面倒だが…

俺に似た裸体の女が手錠と首輪を付けられ、縄で縛られている画像を見つけたので、名前を付けて保存し、壁紙に設定してやった。
へへっ、これで今度パソコンを立ち上げたとき悲鳴をあげるだろうな。
できれば周りに男とかいるといいな、ヒヒヒ…



そういえばまだ下着を物色してなかったな。
俺は花柄のカバーの付いた丸っこい取っ手を引いてタンスの引き出しをあげた。

「おぉ!!」

思わず歓声をあげてしまうぐらい、そこには色とりどりのパンティーが無防備に咲いていた。
ほ、本物だ…
手にとって顔をうずめてみる。
女特有の甘ったるい匂いとしみがリアルだった。
と、同時に欲望がこみあげてきた。

このパンティーを持って帰っておかずにしたい……

だが、どうすればいい?
幽体離脱すればすり抜けてしまうし、やっぱりここはこの女の体を使って直接運ぶしかないのか。
俺はパンティーをわしづかみし、タンスの脇にあったウサギの刺繍の付いたトートバッグに押し込んだ。


早速外に出ようかと思ったが、さすがにこの格好では寒すぎる。
何か着替えるか…

俺は他の引き出しやクローゼットを片っ端から開けた。
そこには「これどうやって着るんだ?」と思う服まで、若い女の服がたくさんあった。
その中にレギンスを見つけた。

おっ、これこれ。
最近は外を歩くとこれをはいた女ばっか見かけるからなぁ。
とりあえずこれをはいとけばテッパンだろう。

俺はもこもこしたショートパンツをずり下げ、レギンスに脚を通し、腰まで引っ張り上げた。
おぉ…すごい密着感…
おまけに股間に何も付いてないのできれいなV字ラインを描いていた。
しっかし、女たちはこんなのはいてよく蒸れないな。
それとも蒸れてるのを我慢してるのか?

次に近くにあった水玉模様のミニスカートをはいてみた。
レギンスをはいてなかったらすごく恥ずかしかったが、レギンスをはいてるとあんまり恥ずかしくない…
女たちがレギンスをはくのが少しわかった気がする…


えっと次は…
俺はキャミソールを脱いだ。

「おぉっ!!」

二つのふくらみがぷるんっと揺れた。
すべり台のようなカーブの先に乳首が突き出している。
さすがにノーブラはやばいな…
俺はショーツの横にあったブラをつまみあげ、四苦八苦しながらどうにかホックを留めた。

そしてTシャツを着てパーカーを羽織った。
女の服って肌触りがいいな。
すべすべしてる。
鏡の前でウインクしたりいろいろポーズを取ってみる。
ま、こんなもんだろう。


そうだ、女だから化粧もしなくちゃな。
俺は床に座り、化粧箱を開いた。
なんかいろいろ道具が入っている。
口紅ぐらいはわかるが…あとはどうやって使うんだ?
ま、使ってみればなんとかなるか。

うわっ!口紅ずれた!!
この粉を顔に叩きつければいんだな。
おわっ!まゆげが大変なことに!!

メ、メイクってどうやって修正すればいいんだ!?

サフ吹いてエアブラシかけるのとは勝手が違う…
紙ヤスリで削るわけにもいかないし…

ええい!こうなったらもうヤケだ!!
メチャクチャに描いてやる!!
よし!“肉”はうまく描けた!!
完成だ!!


mezame3.jpg


俺はこのメイクでトートバッグを持ち、ムートンブーツをはいて外に出た。
通行人たちがみんな振り返って俺を見る。

・あんなにかわいい子なのに頭がイカれてかわいそう…

・何かの罰ゲームなのかしら…

・酒に酔ってるんだろう…

そんな憐れみの目で通行人たちが見ていた。
いいぞいいぞ!もっと見ろ!!
どうせ俺の顔じゃないんだからな。
このバカ女の評判を下げまくってやる。


俺は自分のアパートに着いた。
住み慣れた家も他人の体から見るといつもと感じが違う。
なんだかいつもより大きいような、匂いも臭いような…

俺は今にも崩れそうな階段を登り、自分の部屋のドアノブに手を掛けた。
ガチッ
カギに引っかかった。
しまった…こんなことならカギを外してから幽体離脱すればよかった…

くそっ…せっかくここまで来たのに…
いや、待て、郵便受けがあるか。

「こんばんは~ ○×弁当です♪ パンとティー、 つなげてパンティーの配達に来ました~♪」

俺は満面のスマイルでそう言うと、トートバッグの中のパンティーを手当たり次第ドアの郵便受けに突っ込んだ。
最初はスムーズに落ちていくが、だんだん詰まってくるとなかなか落ちにくくなる。

早く落ちろ!早く落ちろ!

そう願いながら、飾りの付いた長いネイルで押し込んだ。
よし、もうパンパンだな。
一仕事終えた俺は足早にその場を立ち去った。


近所の公園に着いた俺は、ゴミ箱によじのぼった。
空き缶や弁当の空を押し分け、中に入る。
はたから見ればまるで黒ひげ危機一発だろう。

その状態で俺は女の体から抜けた。
女は目を閉じて気絶していた。
肉のマークが格段に輝いて見える。
へへっ、すごいバカ面してるぜ。
我ながらケッサクだ。

さて、俺も部屋に戻るとするか。
パンティーを回収しないとな。
それにしてもこの憑依能力ってのはやみつきになりそうだぜ。


自分の体に戻った俺は、今までの出来事は全部夢じゃないか疑ったが、郵便受けを開けると大量のパンティーが落ちてきた。
しかもまだ生温かい。

回収したパンティーをティッシュで拭きながら枚数を数えていたら、冬の夜空に女性の悲鳴が響き渡った。




(短編『配達』おわり)

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。