短編『マリッジパープル』



私の名前はあゆみ、26才、OL。
今日は親友の洋子の結婚式に来ていた。



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「わぁ~ きれ~い」

元々洋子は、高校時代から美人と評判だった。
その洋子が乙女の憧れ、純白のウェディングドレスに身を包んだ姿は、同性の私が見とれてしまうぐらいきれいだった。
本当によかったね、洋子・・・





実は私が洋子の結婚式に出るのは2回目だった・・・
5年前、洋子には短大時代から付き合ってる彼氏がいて、その人と見事ゴールインした。
でも、その人は仕事のストレスから次第に洋子に暴力を振るうようになり、結局離婚した。

その時の洋子はDVのショックからもう身も心もボロボロで、食事も取らず家で一日中呆然としていたり・・・ひどい状況だった。
だから私はこまめに電話したり、食事を差し入れたり、時には一緒に泊まったり
あげたりして、ひたすら親友の回復を願った。

やがて洋子は精神のバランスを取り戻し、復職、そして陽一君と出会って、結婚・・・
本当にあの状態からここまでよくがんばったね・・・
私は親友の幸せが自分のことのようにうれしかった。




「それでは、新郎新婦によりますウェディングケーキの入刀です!」

若い男性司会者のアナウンスが流れる。

「おめでとう!」「おめでとう!」

会場から一斉に拍手とカメラのフラッシュが湧き起こる。
優しく手を添えて洋子を見守る陽一君と、幸せ一杯に微笑む洋子。
おめでとう、今度こそ幸せになってね・・・





その時だった。


ピュルルルルゥゥゥゥ・・・



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突然壇上から強い光が放たれ、私の視界を覆った。
最初はカメラのフラッシュだと思ったけれど、薄目を開けて見てみるとその強い光は洋子の体から出ていた。
その光と共に洋子のシルエットが変わっていく。
シルエットはどんどん大きくなり、ついに新郎の背丈を越した。

一体何が起きてるの・・・

やがて光は収束し、そこには紫色の化け物がいた。
ドクロのような頭に、ところどころエラのようなものが生えている。
よ、洋子が化け物になっちゃった!!


会場にどよめきが起こる。

「よ、洋子さん・・・?」

隣にいる陽一君はあっけに取られている。
次の瞬間、化け物になった洋子は30cmはある長い爪で陽一君ののどを掻き切った。


「いやあああああぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!」

どよめきが悲鳴に変わる。
首から血を吹き出しながら陽一君が倒れた。
その血でウェディングケーキが赤く染まった。

なんなの、なんなの一体・・・




「やめるんだ洋子!!」

洋子の両親が壇上に駆け上がり、洋子を止めようとした。
だけど、洋子は「ビュルルルル!」という奇怪な鳴き声と共に、両親をも切り裂いた。


「うわあああああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!」

悲鳴はさらに大きくなった。
私も身の危険を感じた。
洋子は壇上から降りると会場のテーブルやイス、そして来場者を無差別に襲い始めた。

一斉に出口に人が殺到し、ぎゅうぎゅう詰めになった。
飛び交う悲鳴と怒号。

自分のドレスを踏みつけて転んでしまい、その上をさらに踏まれる女性。
泣き叫ぶ子供。

さっきまで会場は幸せの絶頂だったのに・・・阿鼻叫喚の地獄絵図に変わってしまった
・・・




「ど、どうしてこんなことするの!? あなたが一番楽しみにしてた式じゃない!!」

私は泣きながら、テーブルを破壊している洋子に叫んだ。
洋子は私のほうを見た。
ドクロのような顔に変わり果てた洋子・・・

「お願い・・・止めて・・・」



洋子は暴れるのを止め、こっちに向かってきた。
よかった・・・私の心が通じたのね・・・

洋子は私の顔をじっと見ると、長い爪で私ののど元をつかんだ。
よ、洋子!?
声にしたかったけど、声が出ない・・・


アッ!!

のど元に強い痛みが走った。
そんな・・・・・・
自分の前に血が吹き飛ぶのが見えた。

私、ここで死んじゃうの・・・・・・



ピュルルルルゥゥゥゥ・・・

私が薄れゆく意識の中で最後に見たのは、目の前に立つもう一人の私の姿だった・・・・・・





(短編『マリッジパープル』おわり)


(※イラストは加工可能なフリーイラスト集から使いました)


コメント

No title

途中までいい感じなんですが、オチがよくわからなかったです。入れ替わり?でもないですよね?

No title

>名無しさん
はじめまして、コメントありがとうございますm(_ _)m

すいません、わかりづらかったですね(^^;)
この作品の元ネタは『仮面ライダーカブト』に出てくる敵怪人ワーム(種族)です。

ワームは虫をモチーフにした怪人で、奇怪な姿をしていますが、「擬態」と言って人間の記憶・容姿をそのままコピーできる能力を持っていて、人間社会に紛れて生活しています(もしご興味がありましたら、僭越ながら拙著『吾輩はワームである』をお読みいただけるとよりわかりやすいかと思われます/ブログのカテゴリー「擬態」から行けます)

それで、『仮面ライダーカブト』第7、8話に花嫁に擬態するのが好きな(正確に言うと違うんですが)ベルバーワームというワームがいたので、それを元ネタにこの作品を書きました。

この作品では、結婚式前にベルバーワームが花嫁の洋子を殺害し、彼女に擬態。
そして、ウェディングケーキ入刀の時に姿を現し、会場を荒らしたという設定です。
つまり、本物の洋子はすでに殺害されているので、この作品のジャンルは入れ替わりでも憑依でもない、「コピー」といったところでしょうか。

しかし、何も説明がなかったので、本当にわかりづらかったと思いますm(_ _)m
次からはもっとわかりやすく書こうと思います。
貴重なご指摘ありがとうございましたm(_ _)m
また訪問していただけたら幸いです(^_^)

擬態、いいですね♪

いつも楽しく読ませていただいてます。

他者変身モノ(?)が好きな自分にとって
擬態能力をつかったTS作品って世の中もっとあって
いいと思うんですが、ネットとか探しても意外に少ないんですよね(汗)

擬態など他者変身をテーマにした作品に
今後も期待しています。

No title

>cgyさん
はじめまして、コメントありがとうございますm(_ _)m
「いつも楽しく読ませていただいてます。」この言葉だけでも力が湧いてきます(^ ^)
本当にこんな不定期で不精なブログなのに読んでいただいて、本当にありがとうございます!!(^^)

なるほど、cgyさんは他者変身モノがお好きなんですか。
私はTSジャンルの中では憑依や入れ替わりが好きなので、擬態を他者変身モノというアプローチから見ている方がいることを知り、新鮮な印象を受けました。
でも、言われてみるとたしかに擬態は他者変身ですね(^_^)

多分、擬態なんてマニアックなネタでTS作品を書いてる物好きは僕ぐらいだと思います(苦笑)
劇中では主人公たちはワームが擬態して人間社会に紛れ込んでることを知っていますが、そんなこと知らない一般人にとっては、突然自分の身近な人や愛する人が怪物になってしまって、ショックや戸惑いを覚えると思います。
今回はそんな一般人の視点から見た擬態を書いてみたくて、この作品を書きました。

また、機会があったら擬態に限らず他者変身モノに挑戦してみたいと思います。
と言わずとも、最近自分の作品がマンネリ化しているので(苦笑)
その際はぜひcgyさんにご教授いただきたいですm(_ _)m

それでは、またお会いしましょう(^_^)

ピュルルルルゥゥゥゥ・・・(←cgyさんに擬態した!?)

擬態ネタ

擬態ネタやっぱりいいですね笑

美人が実はワームというギャップがたまりません笑

このまま順調にワームには擬態を続けて欲しいものですね笑

No title

>しあむさん
どうもありがとうございます(^_^)
そういえば、しあむさんから初めてコメントをいただいたのは前作の『吾輩はワームである』で、あれから約一年になるんですね。
月日の流れは早いものです。

僕はしあむさんがどこにお住まいでどのような職業かなどは知りませんが、夜中にモニター越しにつながりあってる不思議な連帯感を覚えます(苦笑)
この一年間、コメントいただき本当に励みになりました!
この場を借りてお礼申し上げますm(_ _)m


んで、擬態ネタはやっぱり大好物です(^q^)
こんな女の子の憧れのウェディングドレスを着た美人が実はワームだった!!ってギャップがすざまじくてビンビンきます(!?)

たしかこのベルバーワームは最後は聖歌隊に擬態していて、天道に倒されるはず。
途中結婚式場の階段で、白いスーツ姿の女性に擬態しようとして失敗(矢車さんに駆けつけられたため)しましたが、あのまま白いスーツ姿の女性に擬態していたら…と妄想したことあります(苦笑)

あぁ、実は本当は僕は記憶を失ってただけのワームってことはないかなぁ(笑)
普通だったら自分がワームだと気づいたらショックを受けるけれど、僕は多分喜びます(笑)
そして、道端を歩いている女子大生→コンビニ店員→女子高生→OL→ファッションモデル…と次々擬態していきます(爆)
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