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短編『トリツカレタウタヒメ』




(※本作品にはダークな表現や展開が含まれております。苦手な方はご注意ください※)





俺はとある製薬会社の研究員だった。
ある日、実験中に偶然すごい薬を作り出してしまった。
それは自分の体を細胞レベルまで分解し、他者と同化することができるという信じられない薬だった。

俺は仕事そっちのけでその薬の研究に没頭した。
当然ながら俺は会社をクビにされた。
だが、まったく後悔はなかった。
こんな人類史上名を残すような画期的な薬を開発できるなら、会社なんてたいしたことじゃない。


この薬を飲むと、体がドロドロになり、巨大なゾウリムシのようになる。
その状態で同化したい相手の体を包み込むと、融合がはじまり、やがて体は相手、意識は自分の、一人の人間になる。
のはずだったのだが、まだ不完全で、同化は完璧ではない。

具体的には、体は相手の体になるが、俺の男性ホルモンが残るせいか、ひげやスネ毛が生えてしまう。
つまり、女と同化すると、見た目は女なのにひげやスネ毛が生えているという奇妙な体になってしまうのだ。
一方、意識のほうも、完全に俺の意識が乗っ取るわけではなく、相手の意識が残っており、その声が聞こえてしまう。

いずれの効果も研究により、だいぶ軽減することはできるようになったが、未だ完全に治すことはできない。
もっと研究データが欲しいな・・・
俺はこの薬を使って様々な女と同化し、そのデータをフィードバックし、薬の改良を続けていた。



コーヒーをすすりながら、ネットを立ち上げ、次のターゲットを探していたが、なかなかいいターゲットが見つからない。
気分転換にとテレビをつけると、大きな歓声が流れてきた。
それはライブ中継だった。


「みんなありがとう!!」


sheriru1.jpg


熱気あふれるコンサート会場で、一人の女性シンガーが大勢の観客に対し、手を振っていた。
それに呼応し、観客の声援やサイリウムの動きも大きくなった。
それは今人気絶頂の歌手、シェリル・ノームだった。

「銀河の妖精、シェリル・ノームか・・・」

俺は思わず生唾を飲み込んだ。
男なら誰しもそそられる抜群の美貌とプロポーション。
動くたびに張りのある胸や尻が揺れ、長い髪やスカートが舞い、本当に妖精のようだった。

「よし、次のターゲットはこいつにするか・・・」






翌日、俺はコンサート会場にいた。
警備は厳重だったが、薬を飲み、ゲル状になった俺には問題なかった。
通気口から忍び込み、首尾よくシェリル・ノームの控え室にたどり着いた。
すでにコンサート衣装に着替えていた彼女は、一人で最後の打ち合わせ資料のようなものを読んでいた。

「よし、今がチャンスだ」

通気口からぼとりと床に落ちた俺は、そのまま床を這い、彼女の足元にへばりついた。

「な、なに!?」

彼女は驚いていたが、そのまま上半身まで這い上がり、彼女の体を包み込んだ。

「やっ!!」

すると、同化が始まった。
まるで頭の中に直接棒を突っ込まれ、かき回されるような感触がした。
やがて、さっきとは全然違う肉体の感触がした。


「これがシェリル・ノームの体か・・・」


sheriru2.jpg


立ち上がって自分の体を見下ろしてみると、流れる川のような抜群の美脚。
だが、残念なことにそこには俺のスネ毛が生えていた。

「もう少し改良を加える必要があるな・・・」

そんなことを考えていると、耳の奥から声が聞こえてきた。

「何なの・・・どうしちゃったの私・・・」

それはシェリル・ノーム本人の声だった。
彼女からすれば、自分の体が勝手に動いている感覚のはずだ。
だが、俺がうっかり自分の名前でも漏らさない限り、俺の身元が特定されることはない。


「へへっ、せっかくこんなかわいい衣装着て、大きな胸持ってるんだ。揉んでやるか」

俺は衣装の上から自分の胸をわしづかみにした。

「おっ!」

俺の口から思わず男口調のセクシーな喘ぎ声が漏れた。

「あんっ!」

さらに耳の奥からシェリル本人の声も聞こえた。
俺はさらに胸をもみまくった。

「やんっ!!」

快感とともに、耳の奥からさらに声がした。
自分で自分の胸を揉んでいるのに、まるで同時に他人の胸を揉んでいるような奇妙な感覚だ。
さすが銀河の妖精のお胸。
弾力や大きさ、感じやすさは申し分なかった。


「さてと・・・」

俺は控室の壁面に貼っている大きな鏡の前に移動した。

「誰なの!?私の体を動かしているのは!?」

耳の奥からまた声がした。
鏡には抜群の美貌のシェリル・ノームの上半身が映っていた。
だが、あごと脇には思いっきり俺のひげと脇毛が生えていた。


sheriru3.jpg


「やはり男性ホルモンの抑制が今後の課題だな・・・」

俺は手袋をつけたきれいな手で、自分のあごや脇をなでた。

「お願いだから私の体から出て行って!!」

どうやら涙腺までは完全にコントロールできなかったみたいだ。
俺の目元から涙がポロポロこぼれてきた。

しっかりメイクを施したとびきりの美人がひげを生やし、笑顔で泣いている。
第三者が見たら、まったくカオスな顔の女がそこには映っていた。



「さてと・・・」

俺は床に転がっているある物を拾い上げた。
それはさっき俺がゲル状になっている時、体内に隠し持っていたペニバンだった。

「う、嘘でしょ!?いやっ!!」

耳奥から彼女の悲鳴が聞こえた。
だが俺はそんなことお構いなしにスカートをたくし上げ、ペニバンのバンドを広げて腰に巻いた。
レオタードのようなピッチリした下着の上に、黒光りする棒状の物体が装着された。

そのままスカートを元通りにすると、スカートの生地が男のそれがあるようにモッコリ膨らんでいた。
こんなかわいい衣装を着て、プロポーション抜群の美女が、発情期の豚のように勃起している・・・
俺にとってはたまらない光景だった。




「シェリルさん!本番5分前です!!」

ドアの向こうからスタッフの声がした。

「えぇ、今行くわ」

俺はシェリルの声でそう返事した。

「じょ、冗談でしょ!?」

耳奥から聞こえる本人の声を無視し、俺は立ち上がり、部屋を出た。
ペニバンを付けているので少し歩き辛かった。
他人にバレないか心配だったが、上からスカートをはいてる上、スタッフは皆本番前で慌ただしく、誰一人俺がペニバンを装着していることに気付く者はいなかった。

「お、お願いだからやめてぇぇっっ!!!」

絶叫に近い、彼女の最後の嘆願が聞こえてきた。




会場はすでに満員御礼だった。
俺がステージに現れると、「うおおおぉぉぉっっっ!!!」と地響きのような大歓声が沸き上がった。
だが、その中から青空に差し込むにわか雨のようにぽつりぽつりと「あれ?」「えっ?」と疑問の声が聞こえ始めた。
どうやら観客の一部が俺に毛が生えていることに気付いたらしい。
俺の目から流れ落ちる涙の量が一気に増した。


「こんなサービス、めったにしないんだからねっ♪」

俺はそう言い、バッとスカートを脱ぎ、後ろに投げ捨てた。

「うわああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」

「きゃああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」

歓声が一瞬にしてどよめきと悲鳴に変わった。


そこに立っていたのは

毅然とした

女神のような


sheriru4.jpg


変態だった。





(短編『トリツカレタウタヒメ』おわり)


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